オーストラリアのラッド政権が来年7月からの導入を目指す「資源超過利潤税(RSPT)」をめぐり、同国の内外で波紋が広がっている。世界的な資源ブームに支えられ、「春」を謳歌(おうか)している採掘企業の利益に課税する一方、一般企業の法人税を軽減するというものだが、採掘企業は猛反発。特に体力の弱い中小業者が倒産ラッシュに見舞われれば、中国の進出を許すだけとして、政府に見直しを求めている。他の資源国でも資源大手への課税を検討し始めており、資源国と資源大手のつばぜり合いは世界規模で激しさを増しそうだ。

世界一の信用危機

 ラッド政権が「資源超過利潤税」を打ち出したのは5月初め。2012年度(同年7月〜13年6月)から、再生不可能な資源、つまり、石油、天然ガスや鉄鉱石などを採掘して得た利益のうち、超過利潤分に40%を課税するという内容だ。

 地元ABCメディアによると、超過利潤とする基準は、同国の10年物国債利回りの6%を上回る分とする方向で調整中。政府は新税導入で、4年間で120億豪ドル(約9300億円)の増収を見込む。これらは老齢退職年金引き上げの原資や、法人税減税に充てるほか、鉄道網の整備など社会基盤整備費にも回すとしている。

 ラッド政権は、資源大手各社はここ10年の世界的資源ブームで、膨大な利益をあげたにもかかわらず、適正な課税は行われていなかったと指摘。今回の新税導入で、資源ブームの恩恵を一般国民や他企業に分配するとしている。

 これに対し、同国内で操業する資源各社は、特定業種を対象に40%という高い税率をかけるにもかかわらず、事前の説明もなかったとして、政府の方針に一斉に反発。なかでも英豪系の世界的資源大手、リオ・ティントのアルバニーズ最高経営責任者(CEO)は24日、「これでオーストラリアが投資に向いているという評判は地に落ちた。これこそ世界一のソブリンリスク(国家の信用危機)だ」と怒りをあらわにした。
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産経新聞 2010.5.31
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