【北京=野口東秀】中国人民解放軍で急速に若返り人事が進められている。30日の中国共産党機関紙「人民日報」(電子版)によると、軍で思想・政治工作などを担当する総政治部の副主任4人のうち2人が交代した。胡錦濤国家主席(中央軍事委員会主席)による軍掌握の一環で、2012年の第18回共産党大会で行われる中央指導部の大型人事に向けた布石と言える。

 総政治部での人事は、上将の劉永治、孫忠同の両氏(いずれも65歳)に代わり、新たに中将の童世平・前国防大学政治委員(61)と、新疆軍区政治部副主任などを務めた杜金才・総政治部主任助理(57)が就任した。

 また、成都軍区の張海陽・政治委員(60)が戦略ミサイル部隊「第2砲兵」の政治委員に昇格する方向だ。同氏は、元中央軍事委副主席、張震氏の子弟。

 今年に入ってから目立ち始めた若返り人事は海軍出身者が中心だ。今回、昇格した童氏も海軍の所属で、江沢民前国家主席が軍の権力を握っていた時代に上将に抜てきされた陸軍出身の張黎副総参謀長が1月に引退、後任に海軍出身で原潜の艦長も努めた孫建国総参謀長補佐(57)が昇格したことなどで示されている。海洋権益の確保を重視する胡指導部の意向を反映したものだ。

 軍内での人事刷新は、軍歴のない胡主席が第18回党大会以降も軍トップの軍事委主席にとどまるためには必要で、「江主席時代の色彩を消す必要に迫られている」(観測筋)と指摘されている。

産経新聞 2009.12.31
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