【シンガポール=宮野弘之】オーストラリアへの移民の数で中国が、英国や隣国のニュージーランドからの移民を初めて上回った。10月までの4カ月間の統計によると、経済危機の影響で英国からの移民が5800人、ニュージーランドからは4740人だったのに対し、中国からは6350人が移住した。また、中国国内でオーストラリアへの親近感が高まっているという調査結果もあり、こうしたことも移民増につながっているようだ。

 地元紙シドニー・モーニング・ヘラルドによると、今年2月、豪政府は経済危機による景気後退を受け、2009年から10年の技能労働者の受け入れ枠を1万8500人縮小。この結果、英国からの移民が28%、ニュージーランドからの移民は47%減少した。これに対し、中国からの移民は先に市民権を取った人が家族を呼び寄せるケースが多く、同枠縮小の影響を受けず、逆に15%増となった。

 一方、オーストラリアのシンクタンクが今年8月から9月にかけ、中国国内の成人1200人を対象に行った意識調査では、回答者の大半が、アジアでオーストラリアは重要な役割を担っていると思うと答えた。

 また、対中投資について、日本と米国からの投資には79%と70%の人が反対したのに対し、シンガポール、カナダ、オーストラリアからの投資には、それぞれ56%、45%、41%の人が望ましいと答えた。カナダもオーストラリア同様、中国移民が多いことが、背景にありそうだ。

産経新聞 2009.12.9
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