30日付の中国紙、中国青年報によると、国務院(政府)国有重点大型企業監事会の季暁南主席は2兆ドルを超す外貨準備の運用について「金の保有量を3〜5年以内に6000トン、8〜10年以内に1万トンまで増やすべきだ」と指摘した。現在の保有量は約1000トン。ドル安が続くなか、政府内で金の買い増し論が台頭しているもようだ。

 中国の外貨準備高は9月末時点で2兆2726億ドル。うち約7割をドル資産で運用し、金の比率は2%弱にとどまる。最近のドル安を受け、政府内では外貨準備の運用をドル以外に振り向けるべきだとの議論が再燃しており、なかでも金は「安全資産」として評価が高まっているとみられる。

 世界金協会によると、金の保有量(今年9月時点)は米国が8134トンで世界一。ドイツの3408トン、イタリアの2452トンが続く。季主席は外貨準備運用の直接の担当ではないが、今回の発言は政府内の多数意見を反映しているとの見方が多い。中国が金を本格的に買い増せば、最近の金価格の高騰に拍車がかかる可能性もある。(北京=高橋哲史)

NIKKEI NET 2009年11月30日
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