【北京=矢板明夫】中国は10月1日に建国60年の国慶節を迎える。北京・天安門広場で行われる盛大な祝賀式典で、胡錦濤国家主席は記念演説をし、新型弾道ミサイルを含む軍事パレードを閲兵する。毛沢東、トウ小平、江沢民に続く第4代指導者としての権威確立を内外に印象付けると共に、大国として存在感を強めた中国のさらなる国威発揚を図る。

 9月に入ってから、北京市内では「建国60周年の成果展」など一連の関連記念行事がすでに始まり、主な建物にイルミネーションがともされ、花や国旗が飾られるなど、祝賀ムードに包まれている。30日夜には人民大会堂で国慶節記念レセプションが開かれ、温家宝首相が演説する。

 1日午前の式典は、江沢民体制下で建国50年を祝った1999年以来の本格行事となる。胡主席は天安門楼上からの記念演説で、共産党指導による社会主義建設の成果を訴え、21世紀に向けて国力をさらに増強させる「富強大国」実現を呼びかけるとみられる。56民族の「融和」と「団結」もアピールする。

 中国の国内総生産(GDP)は2010年にも日本を抜くと予測されており、昨年秋の金融危機以来、世界で高まる中国への期待をバックに自信に満ちた演説となりそうだ。

 一方、貧富の格差拡大や汚職で、政府に不満を持つ民衆による暴動や分離独立を目指す少数民族勢力によるテロ活動などが各地で相次いでいるため、治安ボランティアら140万人が投入されるなど厳重な警備体制が敷かれている。

 式典現場の天安門広場周辺は30日夜から完全に封鎖され、警察当局は市民に対し「当日は外出を極力避け、式典をテレビで見るよう」呼びかけている。王府井などの繁華街には連日、自動小銃を持った特別警察が目を光らせ、装甲車も出動させている。

産経新聞 2009.9.30
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