中国インターネットメディア「千龍網」は23日、「和服の親子を追い出した行為は、絶対に真の愛国ではない」との論説記事を掲載した。中国人は、日本の「本当の恐ろしさ」である民度の高さを、しっかりと認識する必要があると主張した。

同論説は、湖北省武漢市の桜園で21日、和服を着て記念撮影しようとした母子が周囲から罵声を浴びせかけられた事件を取り上げ、浅薄な「愛国主義」を批判した。

まず、「外国の衣裳を着て記念撮影を撮ろうというのは、よくあることだ。要するに、母子が非難されたのは、かつて日本が中国を侵略したことへの“恨み” が原因」と指摘し、「日本への恨みを表明することが“愛国”と考えている人が多いが、実際には和服の母子を追い出すような行為は、真の愛国ではない」と主張した。

同論説は2007年にインターネットで出現した「愛国ウイルス」にも言及。同ウイルスは満州事変が発生した9月18日、盧溝橋事変が発生した7月7日などに、言語セットとして日本語を使っているOSを狙い撃ちした。論説によると、「愛国ウイルス」は和服の母子への非難と同様に、恨みに対して単純に復讐するだけの構図であり、愛国行為でないばかりでなく、日本の「本当の恐ろしさ」を忘れさせてしまう問題点がある。

同論説によると日本の最も「恐るべき」点は、その民度の高さだ。

2007年のサッカー女子ワールドカップの日独戦では、観客のほとんどがドイツ・チームを応援し、日本には冷やかなブーイングを浴びせた。ところが、日本チームは試合終了後、ピッチに集合して中国語・英語・日本語の3カ国語で「中国、ありがとう」と書かれた横断幕を示し、観客に対して深々とお辞儀をした。

1994年に広島で開催されたアジア大会の閉会式では、6万人が立ち去った競技場の観客席に「ごみひとつ」残されていなかったことを、各国の新聞が「恐るべし、日本民族」などの見出しで紹介した。

また同論説によると、1995年の阪神淡路大地震では、地元の小さな金融機関が、被災者のために無利子、無担保、「本人が連絡先を記入するだけでよい」との方式で、当面の生活資金を貸し出したが、3年後にすべて返済されたという「恐るべき事件」が発生した。

論説は、日本の女子サッカーチームの「ありがとう、中国」の横断幕に比べれば、和服の母子を追い出した行為は「かすれてしまい、何の力も持たない」と指摘。魯迅の「罵りや強迫は戦いでない」との言葉を引用して、和服の母子を追い出すことは、「戦い」でもなければ「愛国」でもないと批判した上で、愛国心を持つ中国人が学ぶべきは、日本の女子サッカーチームのように、他者を感服させるよう、自らの民度の高めることだと主張した。
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日中関係に詳しい中国人によると、「日本や日本人に納得がいかない行為や発言があった場合には、厳しく批判することも必要だが、やみくもな反日には意味がない」と考える人が、中国でも相当に増えている。ただし、庶民に反日感情があるのも事実で、特にインターネットの書き込みでは一部の過激な意見が「暴走」することも多いという。(編集担当:如月隼人)

Searchina 2009年3月23日
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0323&f=column_0323_009.shtml