【ハノイ=大木聖馬】中国外務省によると、中国の戴秉国(たいへいこく)・国務委員(副首相級)とクリントン米国務長官は30日夜、中国海南省三亜で会談した。
最近の米中関係を中心に話し合われ、「双方が互いの立場を尊重する基礎に立ち、適切に相違や敏感な問題に引き続き真剣に処理していく」ことを確認した。「敏感な問題」とは尖閣諸島や南シナ海を巡る問題を指すとみられる。
ベトナム・ハノイで30日に行われた米中外相会談でも、クリントン長官の「尖閣諸島は日米安全保障条約の範囲に入る」との発言について、楊(ようけつち)外相が「高度に敏感な問題で言動を慎む」ことなどを求めていた。
このほか、胡錦濤国家主席の来年初頭での公式訪米が米中関係の発展に重要であり、成功に向けて共に努力することでも一致した。
一方、AP通信によると、クリントン長官は、尖閣諸島や、南シナ海などの領土問題について近隣国と平和的に解決するよう戴秉国氏に求めた。また、11月にソウルで開かれる世界20か国・地域(G20)首脳会議を前に、北朝鮮が挑発的行為を取らないよう影響力を発揮することも求めたという。
中国は、南シナ海に面する海南島にクリントン長官を呼び出す形で会談を開くことで、東アジアの海を巡る問題では中国が主導権を握っており、米国は介入できないと、国内外に印象づける狙いだ。
読売新聞 2010年10月31日
http://www.yomiuri.co.jp/