中国の急速な軍事力増強で、中台の軍事バランスが崩れることに危機感を抱いているためだ。中国の軍拡路線に歯止めがかからない場合、F16C/D型戦闘機の売却なども予想される。
米政府が今回、地対空誘導弾パトリオット改良3型(PAC3)114基の供与を打ち出したのは、中国本土から台湾を狙った短距離ミサイルの脅威が年々深刻化しているためだ。
米国防総省によると、台湾を狙う中国の短距離ミサイルは05年末に790発だったが、08年9月には1150発に増加。専門家によると、現在は約1400発に達したとの見方もある。
多用途ヘリUH60「ブラックホーク」60機の供与は、迅速に部隊を展開して侵攻兵力を制圧する機動作戦の能力強化を図るものだ。現有のUH1H「ヒューイ」の老朽化に悩まされていた台湾軍が強く要望していた。
今後の焦点は、空軍力強化の柱となるF16C/D66機の供与だ。米紙ワシントン・タイムズによると、米台当局はF16売却の是非を合同で検討し、必要と結論づけられた場合、数か月中に売却を決めるという。
中国空軍は、F16に匹敵する性能を持つとされる国産のJ10戦闘機の配備などで制空能力を劇的に向上させている。米国の保守系研究機関ヘリテー ジ財団のウォルター・ローマン部長は、「台湾に最も必要な武器を売らないのは、パートナーである米国への信頼を損なう」と主張するが、中国本土の基地への 攻撃能力を持つF16売却が中国の一層の反発を招くのは確実だ。
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